建設コンサルタント業界のМ&Aの歴史

 建設コンサルタント業界の、М&Aのこれまでの歴史について整理してみたいと思います。

М&Aと言う言葉自体は、かなり以前からありましたが、外国企業や大企業の話のように思われて、一般的ではありませんでした。

第一期:建設コンサルタントМ&A黄金期の始まり

建設コンサルタント業界でМ&Aによる企業売買が増えたのは、2000年代に入ってから始まった建設不況がきっかけです。建設分野の公共投資規模が半分にまで縮小していった時代です。

建設不況によって多くの会社が、経営破たんしましたが、実際に解散廃業に至った企業は案外少なく、多くの会社が存続しています。
多くの会社が存続できた理由の一つとして、М&Aによる企業譲渡が挙げられます。

金融機関は、貸付先が経営破たんして廃業してしまえば、貸付金はほとんど回収できなくなります。
それだけは避けたい金融機関が、経営を存続してくれる会社を探しました。
破たんした会社には、多くの実績もあり、優秀な技術者がたくさんいる会社もありましたが、債務超過に陥った借金だらけの赤字企業に手を出す会社はあまりありませんでした。
ファイナンス上は、企業価値ゼロです。
株主としては、経営を引き継いでさえくれれば、無料譲渡でもよかったのです。金融機関も少しでも貸付金を回収できればそれで、御の字という感じです。

そんな建設不況の最中でも、「業績のダメージの少ない会社」、「資金力のある会社」、「経営トップがМ&Aの可能性を見抜いていた」の三要素を持っている企業がありました。
これらの先見の明のある会社は、銀行等にある程度の債権放棄や、金利、貸付期間等で有利な条件をつけつつ、経営権を引き継いだのです。
つまり、格安で会社をМ&A買収したことになります。
※ただし、失敗すれば、共倒れのリスクを抱えることになります。

そんな形で、М&A後も、徹底的な経営効率化、コスト削減、人員削減が行われましたが、経営改善に成功できず、その後、オーナーが転々と代わっていった会社もあります。
一方、М&A後になんとか買収先の経営収支を均等させた企業もあり、そのようなところには、さらにМ&A譲渡希望情報が集まり、次々に建設コンサルタントを買収する企業も現れました。

一方の公共分野の建設市場ですが、10年で投資規模が半減し、社会インフラの維持等のためこれ以上はインフラ投資規模の減少不可能な段階で安定しました。
その10年の間に、建設コンサルタント分野の技術者は、大幅に減少、かつ高齢化し、その勢いが止まらない状況に陥りました。
また、東日本大震災のような大きな自然災害を経験し、復興のための投資や、インフラ老朽化、国民の防災意識の高まりなども相まって、再び、建設コンサルタントの重要性が認識されてきました。
ついに、不況から一転、市場の需給バランスが逆転し、建設コンサルタント業務は一杯あるけど、技術者が足りない、やる人がいなくて、受注できないという状況になりました。

 こうして、業界自体は好景気になり、多くの建設コンサルタントをМ&Aにより買収した企業は、買収した会社の経営を立て直すことができたわけです。
 結果として、連結決算上の、総資産、売上規模、社員数等を考えると、大きな成長と成功を収めることになりました。
 社員規模数千人、売上数百億、といったホールディング企業も誕生しました。
 建設不況の、その当時に、先見の明を持ってリスクを取った成果です。

 多分、こんなМ&A黄金時代は、この後にそうは起こらないと思います。

第二期 2015年以降

 
さて、建設大不況を経て、連結ベースで考えると、М&Aに積極的に取り組んだ会社は、何倍にも急拡大し、М&Aに取り組まなかった会社は、よくて横ばいという感じになりました。
建設コンサルタントランキングもホールディング企業を含めると大きな変動が見られたと言えるでしょう。
( ※規模の追求だけが経営ではないのですが)

2015年くらいから、国内のМ&A市場が活況を呈し、普通の会社にもМ&Aがかなり浸透してきました。
大手М&A仲介会社が急拡大し、大体、どこの会社もМ&A仲介会社の営業を受けていると思います。

建設不況時に経営破たんした会社をМ&Aにより買収し、急拡大と大きな成功を収めた建設コンサルタント会社を横目で見ていた他の建設コンサルタント会社は、М&A仲介会社の営業を受けて、「うちもМ&Aを始めよう」と考えるようになりました。
そして、現在、多くの建設コンサルタント会社が、成長戦略の一つとしてМ&Aを掲げるようになっています。

建設コンサルタント業界のМ&A動向」に続く

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