建設コンサルタント会社がラーメン屋を買収することの是非
建設コンサルタント会社等の建設関連会社で、ラーメン屋を買収し、本業(建設分野)と全く違うビジネスをしている会社があります。
みなさん、建設コンサルタント会社がラーメン屋を経営することをどう思うでしょうか?
荒唐無稽に思える人もいれば、儲かるならなんでもやるべきと考える人もいると思います。
建設コンサルタントがラーメン屋を買収することの是非について考察を述べていこうと思います。
ビジネス論的には、新規事業開発は企業の存続のために絶対に必要なことです。なぜなら、ビジネスはいつか必ず陳腐化し、市場がダメになってくるものだからです。
そのため、企業が永久継続を目指す上で、現業が儲かっている内に、次の有望なビジネスを開拓する必要があります。
ただ、新事業開発というのはリスクが伴います。
そのため、基本的には現業の関連領域に進出する方が成功確率は高いでしょう。なぜならノウハウや知識も豊富で、現人員でも対応できる可能性があるからです。さらにシナジー効果といって現業と相乗効果も見込めるはずです。
建設分野で考えると、建設コンサルタントが測量会社や、建築設計会社、自社の弱い技術分野の強い会社などを買収するなど、周辺領域に拡大するパターンもあれば、施工会社が設計会社を買収するなど、計画~設計~施工と、建設サプライチェーンを統合するように買収を目指すケースなどが該当します。
普通にビジネス的に考えれば、それが王道と言えるでしょう。
一般に大企業になるほど、経営の意思決定者も分散し、株主や金融機関など外部のステークホルダー(利害関係者)の影響も大きくなります。
ラーメン屋等の完全な異業種進出の場合、成功確率も低く、現業とのシナジーも見込めないのであれば、ステークホルダーの理解を得ることも難しいでしょう。
そのため、企業価値を向上するためには、会社の投資余力を、もっと成功確率やシナジーが大きいものに使うように志向されるはずです。
そういう世界の人達にしてみれば、「建設コンサルタントがラーメン屋を買収するなんて」と荒唐無稽に感じるでしょう。
ところが、妥当性を感じ実際に買収する人達もいます。
例えば、地方のオーナー企業の場合です。
地域のオーナー企業というのは、元々、地質調査や測量会社から、建設コンサルタントに進出したケースも多く、若い頃からいろいろ挑戦してきている創業者が多いものです。
地域オーナー企業の経営者の交友関係は、同業者はもちろん、地域の商工会等での他業種社長との交友もあり、他業種の状況などについて、見聞きする機会に恵まれています。
つまり創業的なビジネスセンスがあり、また情報にも恵まれています。
一方で、同じ地域の建設コンサルタント会社でも借金まみれの会社もあれば、安定経営を続け、投資余力を持っている会社もあります。
しかし、地域では市場規模が小さく、本業拡大のための投資機会が限られてしまいます。
そのような投資余力はあるものの、投資機会がない会社が、地域のオーナー企業にはよく見られます。
そのような環境の中で、「あそこの国道沿いのお店もうすぐ閉店するそうだよ」、「誰かに譲りたいらしい」というような情報が入ってきます。
立地はよいし、上手くやれば利益がでそうな気がします。店ごと買収で、機材も従業員もまとめて買収するのであれば、やってみるか!と始めてしまうケースです。
自己資本が充実した、オーナー企業経営者であれば、自分の一存で決められます。
「経験のない異業種で、絶対に失敗するに決まってる」と感じる人も多いでしょう。確かに、飲食業は、商売の中で最も難しい部類で、成功率も低く、また成功しても長期的な存続率は低いと言われています。
ところが、ビジネスセンスのある人は違います。
自分が飲食店経営のノウハウがないことは当然理解しています。
そこで、餅は餅屋と、まず、腕利きの飲食業に強い経営コンサルタントを連れてきて、以前の店がつぶれる理由、どうやれば成功できるのか調べます。
決して、経営コンサルの言うことを鵜呑みにせず、自分で納得できるまで考えます。
そして、経営計画を立てていきます。
例えば、特定地域で伸ばしている人気ラーメン店のフランチャイズ等、比較検討し、FC(フランチャイズ)加盟等を活用することもあります。従業員をFC本部に派遣し、研修を受けて、店を簡易な改修をして、そして、その地域の一号店となって開店し、そして、大きな成功を収めるケースもあります。
そうやって、地域内でいろんな事業に挑戦しながら多角化を図っていくというような経営形態になります。
つまり、地域密着での情報網と、投資余力、外部リソースの活用を、経営の強みとして、キャッチした機会に、早い意思決定と、経営センスにより事業化していくような会社です。
「もし失敗したらどうするんだ!」と思う人もいるでしょう。
新事業開発投資というのは、一か八かで行うものではありません。必ず、失敗してもリスクを負える範囲、投資余力の範囲内で行うものです。
だから、失敗しても本業がダメージを受けることはありません。
もう一つ、異業種挑戦には大きなメリットがあります。
それは、経営者自身の経験値を上げ、成長させる効果です。
経営センスは、自分でリスクを負って、自分で考えてやらないと成長しません。
大企業で出世して部長になりました。子会社の社長もやりましたというような人で、自分で創業して、成功する人は僅かなことから分かると思います。
例えて言えば、浮き輪をつけて水泳の練習をしているようなものです。
飲食業などは、商売の基本とも言えるもので、京セラの稲盛会長も、実学と言う本で、「商売を理解したかった屋台のうどん屋をやれ」、と書いているくらいです。
例え失敗しても、経営者自身は大きな経験値を積めることになります。
実際は、創業というのはワクワクするものなので、社長も面白くてやっていると思います。
また、後継者候補や、自分の子息等に挑戦させることもあります。
そうやって、経営の面白さを子息に教えて、経営センスのある後継者を育てていくわけですね。
そう考えると、建設コンサルタント会社がラーメン屋を買収することも、妥当性があると思う人も多いと思います。
さて、これまでは、本業への投資機会が限られてきましたが、現状は企業や事業を売買する友好的М&Aが盛んになってきています。
今後、大廃業時代を迎え、後継者のいない建設コンサルタント、建設関連業種での廃業も増大していくでしょう。
当社、建設コンサルタント、建築設計、測量等含め、建設関連業種に特化したМ&A仲介会社です。
是非、当社を活用し、新事業展開、企業の発展に取り組まれてください。
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